女性の性欲高進剤は革命か 独企業 論争よそに開発着々
2009/11/16
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![]() 1998年3月に発売され“革命”をもたらしたバイアグラ。ED治療薬市場は年間20億ドルに成長したが、女性用の性欲高進剤はそれを上回る規模になるとの予測も(ブルームバーグ) |
ドイツの製薬会社べーリンガーインゲルハイムが開発している女性の性欲高進剤が、16日にフランスのリヨンで開かれる性障害関連会議の焦点になっている。
血流を促すなど体に物理的に働きかける米ファイザーの性機能障害治療薬「バイアグラ」とは異なり、ベーリンガーの錠剤は脳に働きかけ、精神面の禁忌を取り除こうとする。
この性欲高進剤は10年前のバイアグラ発売と同等の革命をもたらす可能性がある。
◆20億ドル超す大市場
コンコルディア大学(カナダ・モントリオール)の神経科医、ジム・ファウス氏はベーリンガーの新薬「フリバンセリン」について、「性欲の減退が脳の働きの障害である可能性があり、パートナーの責任とはかぎらないという考えが、やっと受け入れられる第一歩になるかもしれない」と話した。
米製薬会社バイオサンテ・ファーマシューティカルズのサイムズ最高経営責任者(CEO)は昨年、性的障害を訴える女性が増加していることから、女性向け性欲高進剤市場は、年間20億ドル(約1793億円)の男性用性的不能(ED)治療薬市場を上回る規模になると予測している。
ベーリンガーは1990年代、鬱病(うつびょう)治療薬の研究中にフリバンセリンを発見。2002年までには同剤に抗鬱作用ではなく、性的欲求を促す効果があることが実験で確認されている。
ベーリンガーは10年以上にわたってフリバンセリンの研究を続けているが、有効性を実証する臨床試験結果をこれまで公表してこなかった。同社は16日に開かれるリヨンでの学会で5000人超に上る欧米女性の臨床試験データを初めて公開する予定だ。
臨床試験における薬効の主な判断基準は、治療開始後に経験した「満足のいく性行為」の回数に関する被験者の証言だ。結果が良ければ欧米規制当局への申請が可能となる。
ファウス氏によると、フリバンセリンは脳に働きかけ、気分や食欲、睡眠、記憶などを制御する神経伝達物質セロトニンの分泌を抑制。それにともなって、欲求を刺激するドーパミンの分泌が促される。
同剤は3〜6週間、毎日服用することで効果が現れる。被験者のなかには疲労感を訴える女性もいたと、臨床試験にかかわったフライブルク大学クリニックの精神科医、ミヒャエル・バーナー氏は話した。
米神経科学教育研究所(カリフォルニア州)の精神薬理学者兼会長のスファン・シュタール氏は、性欲の減退は「深刻な問題」であり、現時点での臨床試験結果によれば同剤による改善が可能だと指摘。ベーリンガーのコンサルタントも務める同氏は、性障害の治療において、薬剤の果たす役割が今後拡大していくとの見方を示している。
◆病気否定の見方も
だが女性の性欲減退は性障害ではないとの見方もある。ベーリンガーが臨床試験を開始した翌年の03年、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に、女性の性障害とは、製薬会社が健康な人にも薬を買わせるために作り上げた病気だとの一文が掲載された。
バーナー氏は「一部の人にとって、これはイデオロギーの闘いだ。私のように多角的な見方の人間もいる。一方で、このような問題の解決では、パートナーとの関係改善に取り組むべきであって、薬が介入すべきでないとする見方もある」と指摘した。(Naomi Kresge)
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