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必要なのはたった6つの規則

2009/11/23

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ワシントンの連邦議会議事堂。上院と下院はどの連邦機関が銀行監督の主導権を握るかをめぐり争っている。もっと重要な改善策で合意すべきだ(ブルームバーグ)
ワシントンの連邦議会議事堂。上院と下院はどの連邦機関が銀行監督の主導権を握るかをめぐり争っている。もっと重要な改善策で合意すべきだ(ブルームバーグ)

 米金融規制改革をめぐる議論が大きく揺れている。法案は提示されているものの、複雑で冗長だ。提案された解決策の大半は漸進的な変更であり、将来のバブル発生を阻止できそうにない。

 上院と下院は、どの連邦機関が銀行監督で主導権を握るかをめぐって争っている。政府も議会も、すべてを解決しようとして落とし穴にはまっている。それよりは、最も重要な改善策で合意すべきだろう。

 ◆深刻な問題顕在化

 金融危機は6つの深刻な問題を顕在化させた。

 (1)住宅金融の規制は緩過ぎ、一部のケースでは存在しなかった(2)銀行の自己資本比率規制は低過ぎた(3)クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などのデリバティブ(金融派生商品)取引が、巨大な見えざるリスクをもたらした(4)債務担保証券(CDO)などの仕組み証券の信用格付けに大きな欠陥があった(5)過剰な報酬がバンカーをリスクテークへと駆り立てた(6)政府の危機対応がモラルハザード(倫理観の欠如)を引き起こし増幅させた。

 第1の問題である住宅金融には、すでに米連邦準備制度理事会(FRB)などの規制当局が取り組んでいる。頭金なしのローンを借りるのは以前よりもかなり難しくなった。議会は「住宅ローンは、借り換え見込みではなく、借り手の返済能力に基づいて承認されるべきだ」との簡単な原則を法制化し、改正を確かなものにする必要がある。

 第2の問題である資本規制にも、進展の兆しがみられる。主要20カ国・地域(G20)は、世界経済が回復すれば銀行の自己資本規制を強化すると明言した。米国はそれを待つべきではない。議会は今、より高い基準を主張しなければいけない。レバレッジはすでに危機前の水準から下がっており、規制は銀行がかつての高レバレッジに戻らないことを確実にするだろう。

 議会に提案されている法案は、第3の問題であるデリバティブについて、取引所での取引を義務付けることで解決を目指している。そうすることが「大人の監視」につながるという考え方だ。この法案に批判的な向きは、多くのデリバティブがカスタマイズされた非公開の取り決めで引き続き取引されることになると指摘している。

 しかしデリバティブがどこで取引されるかはあまり重要ではない。米保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)のCDS契約が月面で交わされたとしても、政府による救済が必要になっていた。AIGが問題に陥ったのは、ポジションが裏目に出て、数百億ドル相当の担保を追加で差し出さなければならなくなったためだ。したがって重要なのは各取引を裏付けている担保の額だ。

 第4の問題は、ムーディーズ・インベスターズ・サービスやスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングスなどが、住宅ローン担保証券(MBS)に過度に甘い格付けを付与したことが住宅バブルを増大させたことだ。これら格付け会社は、証券化商品を組成して販売するのに格付けを必要とした金融機関から報酬を得ていた。

 米当局は少なくとも、こうした利益相反だらけの取引を是認するのをやめる必要があろう。米証券取引委員会(SEC)が「全国的に認められた」企業を指定し、このお墨付きを得た企業が多くの事業を手掛けることができるようにする。議会は、利害のない相手から報酬を得ている格付け会社のみが、そうした認定を得る資格を有するようにしなければならない。

 第5の問題である報酬の膨張は、金融機関に限られたものではない。しかしそれは、ウォール街で過度のリスクテークを促し、高レバレッジにつながる。

 政府はさまざまな方法で報酬を抑制しようとしているが、それは機能していない。ウォール街では多額のボーナスが再び支払われるようになっている。

 より簡単な解決策は、例えば500万ドル(約4億4440万円)以上の高額報酬について、株主の承認を義務付けることだ。そうすれば、多くの銀行は株主投票を避けるため、報酬をそうした上限を若干下回る水準にとどめるだろう。バンカーは年499万9999ドルの報酬でも人生は悪くないと気付くかもしれない。

 最後の問題はモラルハザード。米当局は2008年にベアー・スターンズとファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)、フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)を救済した際、将来の救済の前例になるものではないと強調した。バーナンキFRB議長は「大き過ぎてつぶせない」問題への対応は「最優先課題」であるべきだと語っている。完璧(かんぺき)な世界であれば、すべての銀行は破綻(はたん)が許されることになる。

 ◆無謀な行動促す

 われわれは最近の経験から、そうではないことが分かる。特権的な地位を与えることは無謀な行動を促すことにつながる。

 政府は、銀行にとって当局の保護下にとどまることは望ましくないようにすべきだ。大手金融機関に多額の保険料を請求し、自己資本規制をさらに強化することでそれは達成可能だろう。そうすることにより、破綻しても脅威とはならない規模に縮小するよう促すことができる。

 政府にウォール街を内側から運営させる必要はなく、新しい連邦機関や官僚主義もいらない。われわれに必要なのは、適切なインセンティブと制限の回復につながる注意深く選択された少数の規則だ。(コラムニスト Roger Lowenstein)

                   ◇

 Roger Lowensteinは、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です。

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