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俳優・松重豊さんに聞く(下) 「役者の原点」落語で痛感

2008/2/7

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【プロフィル】松重豊 
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 まつしげ・ゆたか 明大文卒。ニナガワ・スタジオでの舞台俳優を経て、映画、テレビにも活躍の幅を広げている。昨年は「しゃべれども しゃべれども」をはじめ、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(三池崇史監督)など映画13本に出演。テレビドラマでは「ちりとてちん」(NHK)「ハチミツとクローバー」(フジテレビ)などで個性的な役を演じている。福岡県出身。
【プロフィル】松重豊 

 まつしげ・ゆたか 明大文卒。ニナガワ・スタジオでの舞台俳優を経て、映画、テレビにも活躍の幅を広げている。昨年は「しゃべれども しゃべれども」をはじめ、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(三池崇史監督)など映画13本に出演。テレビドラマでは「ちりとてちん」(NHK)「ハチミツとクローバー」(フジテレビ)などで個性的な役を演じている。福岡県出身。

 国分太一さんとの競演で「毎日映画コンクール」の男優助演賞を獲得した「しゃべれども しゃべれども」をはじめ、映画やテレビで大活躍の俳優、松重豊さん(45)。落語家が主人公の作品に続けて出演し、古典落語の世界に浸ったことで、「役者の原点」を改めて痛感したという。前回(6日付)に続き、松重さんに“役者道”を聞いた。(伊藤俊祐、堀口葉子)

 ≪NHKで現在放映中の連続テレビ小説「ちりとてちん」では、貫地谷しほりさんが演じる「青木喜代美」の父親で塗りばし職人、「和田正典」役を熱演中だ≫

 「脚本を手掛けられた藤本有紀さんからの指名で、キャスティングされました。藤本さんとの仕事は初めて。これまで、日常的な父親像を演じたことは、あまりありませんでしたが、『よくぞここまで、私の本質を見抜いてくれた』というのが率直な感想です。ドラマでは松重豊がどういった父親であるのかを、台本に沿って演じているような感じです。今では自宅に帰るのとドラマのセットに戻るのと、全く同じ感覚。ストレスもありません」

 ≪「しゃべれども しゃべれども」も「ちりとてちん」も題材は落語。しかし、両作品ともに、松重さんが落語を語る場面はない≫

 「ちりとてちんには落語家の桂吉弥さんが出演。徒然亭草原役を演じています。役では高座に上がるとかんでしまうキャラクターですが、実際の吉弥さんの落語は本当に上手。私自身、熱烈な吉弥さんのファンです。先日、吉弥さんと桂米朝さんが演じた「たちぎれ線香」を聞き比べましたが、一言一句変わらないのに演じる人によって笑うツボ、ポイントが変わってくる。本当に奥深いですね」

 「今まで、落語の世界を知らなかったことが恥ずかしい。落語はきっちりとして話芸として成立しており、日本人として俳優をやらせていただいているのであれば、きちんと勉強すべきだと思っています。ちりとてちんの徒然亭一門のメンバーは、『落語家にならなきゃならない』というプレッシャーと闘っていますが、ぼくだけ横で楽な思いをしてみているだけ。いつかツケを払わなければと覚悟しています」

 ≪松重さんはブログ「修行が足りませぬ」を公開中。落語のマクラ、本題、サゲという流れのような、リズミカルな文章の評価は高い。落語の世界に触れたことで、「本当に普遍的なものがあるということを、信じなければならない」と再認識したそうだ≫

 「落語は、(古典を)一言一句変えなくても、今の世の中でも爆笑が起こります。シェークスピアの場合も同様。一言一句変えなくても喜劇の部分では必ず笑いが起きるようにできています。蜷川幸雄さんに鍛えられていたときは、『脚本家は命をかけて書いてきている。せりふは一言一句変えるな』と徹底的にたたき込まれました。現場によっては必ずしも実行されていないケースもありますが、落語の世界に浸ることによって、原点に立ち返ることが必要だと改めて痛感しました。実際、ちりとてちんの藤本さんの脚本は本当に面白い。脚本を自分の口からしゃべるだけで、人物性が立ち上がり、関係性もリアルに浮かんできます」

 ≪映画とテレビドラマに軸足を置いた活動が目立っていたが、4月からは約2年ぶりに舞台に立つ。パルコのプロデュースによる「49日後…」。共演者は古田新太さん、八嶋智人さん、池田成志さん。脂が乗っている役者が勢ぞろいした。ただ、今後の仕事で「こういった役をやりたい」とか「あの役者さんと共演したい」といった欲は、あまりないという≫

 「将来のビジョンはありません。ただ、どっしりと『お待ちする』といった姿勢で、仕事に臨みたいですね。とにかく、松重豊を見て『こういう役を演じてほしい』といった人たちとの縁と、流れを大事にしていきたい。それに確実に応えるということに集中していければ、俳優という仕事を続けていってよいのでは、と思っています」

                   ◇

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