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特許評価応用で企業投資格付け

2009/2/16

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 米国金融バブル崩壊の連鎖で、日本の株式市況が低迷を続ける中、機関投資家や投資アナリストの中に新たな投資手法を探る動きが出ている。その一つの切り口として、今、特許評価に注目が集まり始めている。

 ≪注目される「YKS手法」≫

 東京都千代田区の工藤一郎国際特許事務所では最近、投資関係者からの問い合わせが急増している。同所が開発中の特許価値評価手法「YKS手法」の株式投資への応用についてだ。

 YKS手法は出願中・登録済みを含め、特許個々に発生する障害要素項目を調べ、それらにスコアを与えた後、ある計算手法によって調整した“特許力評価指数「YK値」”を算出する。

 障害要素とは、特許庁が公開する特許整理標準化データから抽出する。具体的には、閲覧請求、無効審判など競合他社から発せられるアクションのことでその特許に価値があることの証明になる。そしてYK値の総和は、当該企業の保有する特許力、技術力の価値を意味する。

 ではYKS手法は、本当に株式投資に使えるのか。工藤一郎所長は、「われわれは投資というより、企業の成長性を見るための指標として開発している」と前置きしながらも、「年ごとに各企業のYK値の総和を算出し、株式時価総額との相関を研究した結果、およそ2年のタイムラグを伴って連関していることを発見した」と語る。つまりYK値が株価の先行指標になる可能性があるのだ。誰も考えつかなかったことである。

 ≪ポートフォリオ研究≫

 図表は、東証1部上場企業の中で、電気機器業界160社と輸送用機器業界61社について、YK値による投資評価格付けを試みたものだ。各数値は業界内での偏差値で表されている。

 トヨタ系列のデンソーは、YK偏差値が95.6とダントツに高いのに対して、時価総額偏差値は58.2と低い。豊田合成やセイコーエプソンも同じ傾向。これらは技術力に対する評価が見落とされていることを表し、株価上昇の余地を残している。

 対して最下位61位のトヨタ自動車は、YK偏差値は83.9で業界2位だが、時価総額偏差値は121.2。ブランドなど技術力以外の諸要素を反映して、買い込まれたことをうかがわせる。キヤノンも同様だ。これらは成熟状態にあるといえ、今後の株価上昇圧力は低い。

 注目すべきはパナソニックと買収された三洋電機だ。パナソニックはYK偏差値123.7という業界トップの特許・技術力に対し、時価総額偏差値は110.4と、さらに上昇余地を残す。そこへ家電販売などの失敗で、高い技術力の割に株価が低かった三洋電機がグループ入りする。

 同所では現在、東京大学大学院の小林孝雄教授の指導でYK値を使った株式ポートフォリオ組成の研究を進めており、近く成果を論文にまとめる予定。

 担当の小林泰子さんは「企業の特許力が株価に適正に反映されるようになれば、潜在的な成長力を持つ企業を見落とすことがなくなり、日本の技術投資はもっと活発で効率的になる。ポートフォリオ化でリスクも抑制できるのではないか」と言う。

 特許関連情報を軸に投資適格性を算出する手法を研究、志向している企業は、技術系ヘッジファンドも含め、他にも数社生まれている。技術の国、日本にこそ、欠かせない手法といえよう。今後の動きが注目される。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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