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内部通報制度は今
2007/11/5
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食品表示の偽装問題が相次いでいる。いずれも未公開企業のため外部からの監視の目が利かなかったという面があった。しかし、内部告発により衆目にさらされる結果となった。社会における価値観も変化し、消費者の安全に対する意識は高まっている。たとえ食中毒などの事故が発生しなくても製造年月日、消費期限、賞味期限などを偽ることで、企業の信頼は著しく損なわれる時代となった。コンプライアンス(法令順守)対策の一つである内部通報制度はどうなっているのであろうか。
≪導入状況≫
さまざまな法令違反行為を未然に防止するため、従業員のコンプライアンス意識を徹底すべく、倫理規定の策定やコンプライアンスハンドブックの作成、研修の充実などが上場企業を中心に実施されている。
内部通報制度の導入もその一環である。企業などにおいて、法令に対する違反行為や不正行為が生じたり生じる恐れのある場合、それを知った者が、その状況について適切かつ早急に対処できる窓口に直接通報する仕組みであり、「企業倫理ホットライン」「ヘルプライン」などの名称で呼ばれている。
その導入状況が、2004年10月に国内1部上場企業を対象に実施した内閣府のアンケート調査(回答企業776社、回収率50・1%)に記されている。
それによると、ヘルプラインを「整備している」と回答した企業は全回答企業の40%、「今後整備を検討する」とした企業も51%で、すでに3年前の時点でほとんどの企業が関心を示していたことが分かる。半面、従業員などが相談・通報できる規定を既に「設けている」と回答した企業(289社)のうち、通報したことで不利益を被らない保護規定を設けている企業は47%(全回答企業の17%)にとどまった。当初は通報者の保護が必ずしも明示されておらず、信頼されにくい面もあったが、06年4月に公益通報者保護法が施行され、現在では通報者の保護が明確に示されている。
≪運用状況≫
内部通報制度の導入実態について、酒類業界における各社の取り組みを最新のCSR(企業の社会的責任)リポートの中からみてみよう。
アサヒビールは内部通報制度を「クリーン・ライン制度」と名付け、社内と社外(顧問弁護士)に窓口を設置して「いかなる報告、相談であっても、通報者が不利益にならないことを保証する」としている。またキリングループも「コンプライアンスに関する相談窓口(ホットライン)」を社内および社外(専門機関)に設けている。具体的な利用件数は社内外合わせて、04年が16件、05年が12件、06が18件だった。
一方、サッポロビールはサッポロホールディングスのCSR部を窓口(社内)とし、「サッポロホールディング企業倫理ホットライン」を設置。06年の通報実績は2件だった。さらにサントリーでは、コンプライアンス推進部(社内)と社外の法律事務所の2カ所を窓口とする「コンプライアンス・ホットライン(内部通報制度)」を03年に設置しており、通報案件(06年は53件)に対しては「コンプライアンス推進部がプライバシー保護に配慮しながら調査を実施」しているという。
ほとんどの企業が、内部通報制度の整備を終え、運用段階に入っている。内部通報窓口をつくったもののほとんど利用されていないのであれば、従業員が同制度に寄せる信頼性に問題があるのかもしれない。逆に、通報件数が増加の一途をたどるのであれば、その企業全体のコンプライアンス意識に問題があるといえそうだ。
重要なのは通報件数ではなく、▽通報制度に対する従業員の認識(アンケート調査)▽通報内容の経年の傾向▽通報への対応振り−などをモニタリングし、通報者保護に十分配慮した上で、改善策などを含めて社内に広くフィードバックすることである。
内部通報制度は、上司やコンプライアンス担当者を経由しない、非常時のための情報伝達ルートである。企業不祥事として不名誉な結果になる前に、内部通報制度が本来の自浄機能を発揮し、企業内で有効活用されることを期待したい。
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【プロフィル】大村岳雄
おおむら・たけお 慶大理工院修了。88年大和証券入社。大和総研経済調査部、香港駐在、通産省出向、総合企画室、日本証券業協会出向などを経て03年から現職。部長。45歳。東京都出身。
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