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森ビル代表取締役・森稔氏 凍結外環道にもう一つの選択肢

2009/11/23

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森稔氏
森稔氏

 予算凍結となった東京外郭環状道路(外環道)の関越道−東名高速間約16キロメートルについて、もう一つの選択肢を提案したい。公的負担を大幅に削減しながら道路整備と都市機能更新ができ、環境問題にも寄与する方法である。

 その前に外環道の効果について考えてみよう。首都圏は放射状道路に比べて環状道路の整備が遅れたため、通過交通が都心に流れ込み、混雑の原因となっている。通過交通を環状道路に迂回させれば都内の渋滞は減り、各地方や郊外を結ぶ広域物流も大幅に改善される。渋滞による二酸化炭素(CO2)の削減効果や災害時の救援ルートとしても役立つ。

 外環道は東京の国際競争力を高め、都市の環境負荷を減らし、全国規模の物流効率化にも大いに貢献する。その経済波及効果は全国に及ぶはずだ。

 問題は費用と方法だ。16キロメートルを大深度地下トンネル方式で建設する費用は1兆3000億円以上という。

 ■「高架式」採用 庭園都市実現の契機に

 実は地下道路案が浮上したとき「もったいないな」と思っていた。地下を通り抜けるだけでは地元のメリットは少なく、費用対効果や経済波及効果、環境改善効果も低い。準密閉高架構造なら2000億〜3000億円でできるはずだ。差額1兆円の一部を街づくりの誘導や環境対策にまわし、道路整備と都市機能更新と環境改善を一挙に進めてはどうか。公共は道路、民間が街づくりを担いながら協働で進めればよい。

 「高架式」といっても、私が考える形は従来のものとは全く違う。高速道路の上も下も利用して住宅や公園、商業施設などを一体的に整備する環境創造型の立体道路である。

 モデルケースがドイツのベルリン市街にある。「ヴィルマースドルフ住宅パーク」は、準密閉高架構造の高速道路を包み込むように階段状の集合住宅(1758戸)や公園が配置され、高速道路の下に商業施設や街路、駐車場がある。高速道路の上も両側の斜面も緑化され、見事なグリーンベルトが続いている。

 高速道路の騒音や排気ガス、振動の問題も技術的に解決されており、1980年の完成以来、入居希望者が絶えないそうだ。

 この事業は高速道路を公共が建設し、その上を無償で民間に提供して民間資金で住宅や公園が建設するという、いわば「民活方式」で実現した。

 外環道ではこれをさらに進化させた立体道路&立体緑園都市づくりができると思う。建築・土木・環境技術は当時より格段に進歩しており、「垂直の庭園都市」のモデルもある。さらに環境や安全に配慮した街や住宅への需要は今後ますます強くなるだろう。

 具体的には、幹線道路や鉄道と交差する要所を「垂直の庭園都市」にし、都市機能や交通インフラを立体的に集約する。高速道路上は住宅や公園、緑道、水辺などにして建物屋上も緑化すれば、長大な「緑と風と人の道」が出現する。

 高速道路の下や地下には街路や駐車場、物流施設、商業施設、映画館、スポーツ施設、文化施設などを納めればいい。日々の暮らしがどんなに変わるか、どんなに安全で快適で楽しくすごせるか、想像してみてほしい。

 外環道のルートには異なる特性を持つ地域がある。全線を地下道路にする必然性はなかろう。特に幹線道路との接続には高架式のほうがいい。地元ごとの課題を整理し、最小費用で最大の効果を挙げる方法を検討してはどうか。

 地元の皆さんも「高速道路は環境破壊」と決めつけず、道路と街と自然が共存できる方法を模索してほしい。予算凍結を、柔軟な発想で街の未来図を描くきっかけとしようではないか。

                   ◇

【プロフィル】森稔

 もり・みのる 東大教育学部卒。1959年森ビル創立と同時に取締役。93年社長に就任。首都大学東京客員教授。経済戦略会議、総合規制改革会議の政府系委員や日本経団連、不動産協会などの理事を歴任。75歳。京都府出身。

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