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東京電力(2)コンサル実績で海外に活路

2009/9/2

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東京電力が丸紅と共同で出資するフィリピン「ティームエナジー」のスアル石灰火力発電所。マニラ首都圏の電力安定供給を担っている
東京電力が丸紅と共同で出資するフィリピン「ティームエナジー」のスアル石灰火力発電所。マニラ首都圏の電力安定供給を担っている

 東京電力はこの7月、サウジアラビアの首都リヤド近郊で計画されている大型の卸発電事業(IPP)の国際入札参加に名乗りをあげた。同プロジェクトは中東で久々の大型案件だけに、日本の大手商社や他の電力会社、欧米勢も参戦して激戦となる見込みだが、東電として勝算がないわけではない。

 「海外向けの省エネ支援や電力の長期供給計画策定などコンサルティング業務との相乗効果が武器になる」(小島英夫・総括・海外調査グループマネージャー)からだ。

 経済成長によって電力需要が年率5%で成長するサウジ政府は省エネによって国内の石油消費を抑え、原油輸出を増やしたい考え。同国政府のこうした方針に沿って、東電はJICA(国際協力機構)を通じて昨年10月までの2年間、同国の「省エネマスタープラン」を策定した。ビルや工場などに省エネを義務づける省エネ法などを提言し、同国政府とも良好な関係を築いており、地道な支援や総合力がモノをいう可能性もある。

 ◆58カ国355件

 IPP事業は、安定収益確保や発電所運営のノウハウを生かせるだけに、東電はこれまでに海外6カ国で9プロジェクトを手がけるなど実績も積み上げてきた。2007年には丸紅と共同で、フィリピン最大のIPP持ち株会社「ミラント・アジア・パシフィック」の全権益を取得し、運営会社「ティームエナジー」を設立した。ティームエナジーはスアル石炭火力(121万8000キロワット)をはじめ、3カ所の発電所計320万4000キロワットを持ち、ルソン地域の全発電量の約20%をカバーする。

 東電の海外IPP事業による08年度の持ち分比率に応じた発電事業の売上高は822億円、最終利益は106億円にものぼっだ。

 東電の国際事業が本格化したのは、電力事業の兼業規制が緩和された1996年にさかのぼる。以来、海外でのコンサル実績は累計で58カ国355件(2008年度末)にのぼり、近くバングラデシュの石炭火力のマスタープラン作成や、トルコではピーク電力の増勢に対応した電源開発なども受注する見通しだ。

 世界的な地球温暖化防止対策への意識の高まりによって、米国やアジアなどで原子力発電が再評価されていることも商機につながりそうだ。07年には米テキサス州で計画しているサウステキサス原発の増設案件の設計・建設の技術コンサルを実施しており、東電の清水正孝社長は「当社は建設や保守にも経験を持っており、建設、保有の可能性もある」と、海外の原発ビジネスにも意欲を示す。

 ◆中越沖地震の教訓

 新潟県中越沖地震は、東電に柏崎刈羽原発の長期稼働停止という大きな打撃を与えた。一方で、地震の最大の揺れが事前に想定した約3倍の845ガル(ガルは加速度の単位)にものぼった揺れを経験した結果、耐震設計では中部電力の浜岡原発と並ぶ1000ガルという世界最高水準の耐震性能とノウハウの蓄積につながった。

 海外事業はこの教訓を生かすチャンスでもあるが、同時に「技術継承や人材育成の側面も大きい」と、小島・海外調査グループマネージャーは話す。国内では新規原発の立地が思うように進まない中で、新興国の原発需要を取り込まなければ実際の現場を通じた技術革新や技術者の技能伝承、モチベーションの維持が難しいともいえる。

 これまでは柏崎刈羽原発停止による業績悪化により社内コスト削減を優先してきたが、世界的な電力民営化や需要増大に伴い、東電が培ってきた世界最高水準の技術力や発電所の運営ノウハウを海外で生かせる場が増えているのも事実。海外でも反転攻勢に出るチャンスが増えそうだ。(上原すみ子)

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