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東京電力(3)資源争奪激化で自前調達拡大

2009/9/3

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東京電力が保有するLNG船「パシフィック・ノータス」号。コスト削減やスポット調達に貢献する
東京電力が保有するLNG船「パシフィック・ノータス」号。コスト削減やスポット調達に貢献する

 東京電力が東京ガスと共同で1969年に米アラスカから日本で初めてLNG(液化天然ガス)を輸入してから、11月で丸40年がたつ。世界の年間LNG貿易1億7080万トンのうち、東電1社の輸入量は2042万トンと約12%を占め、世界的にも1社で買い付ける規模としては韓国ガス公社に次ぐ。この4月にはロシアのサハリンIIプロジェクトからのLNG輸入がスタート。豪州やカタールなど長期契約によるLNG調達先は9カ国、10プロジェクトにのぼり多様化も進んでいる。

 ただ、ここ数年でLNG輸入を取り巻く環境は一変したといっていい。中国、米国、インド、台湾といった新たなLNG消費国・地域の台頭で資源争奪が激しさを増しているからだ。

 しかも、東電は2013年にはブルネイとの契約更新時期を迎えるのを手始めに、18年にはマレーシアのサツ鉱区、19年にはUAE(アラブ首長国連邦)のダス鉱区と契約更新が相次ぐ。これまでのように、日本全体の輸入量の3分の1強を占める購買力だけでは「優位性を保てない可能性もある」(燃料部燃料総括グループマネージャーの西村拓史課長)と危機感を強める。

 東電は競争激化に先手を打って、05年8月に豪州ダーウィンLNGプロジェクトで初の権益取得契約を結んだ。パートナーは東京ガスと、アラスカのLNG輸入で40年来のパートナーの米コノコ・フィリップスだ。

 ◆LNG輸入費用削減

 これにさかのぼる00年からはLNG船を保有する運航事業にも参入し、現在5隻を保有する。それまでは売り主側が輸送までを手がけ、輸送料を含めたLNG価格は売り主側の言い値をのまざるを得なかった。だが、自社でLNG船を運航することで調達コストの大幅な削減にもつながった。

 自社のLNG船は、スポット調達でも活躍しそうだ。地球温暖化対策もあり、同社は今後、石油火力発電の比重を減らす方向だ。つまり、ピーク電力に対応する機能がLNG火力に求められることになり、これまで以上に需給変動に即応したLNGの弾力的な輸入が求められているからだ。

 自社船によるスポット輸入では実績もある。07年7月の新潟県中越沖地震で、同社は被災した柏崎刈羽原子力発電所の代替電源として、石油や天然ガス火力発電所を急遽(きゅうきょ)稼働させたことから、LNGのスポット調達を迫られた。LNG輸入は長期契約が主流で、原油のようにスポット市場は少ない。それでも、このときはアルジェリア、ノルウェーなどからの調達に成功し「これまでの輸入実績と船の自社保有が奏功した」(西村課長)と振り返る。

 ◆ウラン自主開発強化

 資源争奪による権益取得は、原子力発電所の燃料である天然ウランにも広げている。世界的に原発が見直され、新設が相次ぐ中で、燃料となる天然ウランの需給が逼迫(ひっぱく)するとにらみ、自主開発を強化する方針だ。

 年内にもカナダの資源会社ウラニウム・ワン(バンクーバー)に出資する計画で、ウラン鉱山の運営ノウハウも蓄積したい考え。7月には新たな組織も発足させ、4プロジェクトの権益や運営を管理する体制も整え、自主開発分で全体の調達量の約3分の1をカバーできる安定調達に道筋をつけた。

 政治リスクや資源ナショナリズムの影響が避けられない資源の権益取得は、従来は大手商社などの独壇場だったが、電力会社も自らプロジェクトを管理する能力が求められるようになっている。(上原すみ子)

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