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東京証券取引所(1)超高速処理導入で市場に活力

2009/11/10

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“場立ち”が消えて10年。世界最先端の取引システム導入が間近な東京証券取引所
“場立ち”が消えて10年。世界最先端の取引システム導入が間近な東京証券取引所

 東京証券取引所が証券市場の活性化を進めている。来年1月には取引スピードを格段にアップさせる次世代システムを導入。上場投資信託(ETF)の品ぞろえや金融教育にも取り組み、投資家のすそ野を広げようと奮闘中だ。市場の健全性を保ちつつ、いかに市場に活力を与えるか。株価低迷が続く中、市場の舞台を支える東証の役割は重みを増すばかりだ。

 ◆隠された“心臓部”

 東証が世界最先端の取引所システムを自負する「arrowhead」(アローヘッド)が来年1月4日の大発会から稼働する。注文処理時時間が「10ミリ(0.01)秒以下」という高速性を備え、取引の迅速化を実現する。注文状況を示す板情報は現在、手サインによる場立ちの感覚を残し、約3秒で掲示されている。これが、約定後、ほぼリアルタイムで表示可能になる。

 コンピューターシステムの発展とともに拡大してきた金融取引だけに、市場活性化に期待がかかる。その願いは、システムの名にも込められている。「アロー」(矢)はスピード感を表し、処理速度向上を象徴する。そして「最先端」を指す「ヘッド」の言葉を入れた。

 人間の瞬きは0.1〜0.4秒といわれ、これより1けた下回る速さで処理することが可能になる。コンマ以下を争う陸上競技では「100分の1秒以下」までが記録されるが、これと同じレベル。これまでのテストでは10ミリ秒よりも速い処理結果が出ているという。

 富士通とシステムを共同開発し、投資額は5年間で300億円にのぼる。基幹部分にあたるデータセンターは東証にはなく、設置場所も非公開で、地図にもその名は載っていない。2001年9月11日に発生した米中枢同時テロ事件で多くの金融機関が入る世界貿易センターが標的になったことを教訓に、日本市場の“心臓部”も隠されている。

 ◆海外投資家の絶対要件

 「アローヘッド」のロゴには2つの矢尻のデザインがあしらわれている。これは、さまざまな障壁を打ち砕く堅固さを示す。強固なシステムは市場の信頼の根幹だ。

 東証には苦い経験がある。06年1月16日、ライブドア(現ライブドアホールディングス)本社などへの強制捜査に反応して始まった「ライブドア・ショック」だ。1月18日には個人投資家らの大量の売り注文が殺到。東証の売買システムはパンク寸前に陥った。当時の処理可能件数を超える勢いで、全銘柄取引停止という異例の措置に踏み切らざるを得なかった。東証のマーケット担当の深山浩永常務執行役員は、これが「仕組みを抜本的に見直す契機になった」と振り返る。

 「アローヘッド」は取引障害を減らす“守り”のシステムとして構築されたわけではない。その狙いは、「海外投資家の絶対要件」(大手証券)といわれる取引スピードの向上により、東証の魅力をアップさせ、投資家を引き付けることだ。高速化では英ロンドン証券取引所が先行しており、コンピュータープログラムで自動的に発注するアルゴリズム取引の増加への対応は避けて通れない。

 1999年5月に“場立ち”が廃止されて10年。コンピューターシステムの進化は、市場に新たな風を吹き込もうとしている。年末年始の商慣行として定着していた前場で取引を終える「半日立ち会い」は、次世代システムの導入に伴って廃止される。今年12月30日の年末納会日と来年1月4日の年始発会日からは、終日立ち会いとなる。(比嘉一隆)

                   ◇

【会社概要】東京証券取引所

 1949(昭和24)年4月1日設立。資本金115億円。所在地は東京都中央区日本橋兜町。従業員数は407人(2009年6月25日現在)。有価証券売買やデリバティブ取引を行うための市場提供、相場の公表などを業務とする。01年に株式会社化、07年に持ち株会社「東京証券取引所グループ」傘下となる。今年10月31日現在の1部、2部、マザーズ計の上場企業数は2339社。

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