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東京証券取引所(2)子供にも目配り 地道な底上げ

2009/11/11

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東証が金融・経済に親しんでもらおうと開催している「親子経済教室」。ゲームなどを通して知識を身につける機会を一般に提供する=2009年8月、東証
東証が金融・経済に親しんでもらおうと開催している「親子経済教室」。ゲームなどを通して知識を身につける機会を一般に提供する=2009年8月、東証

 「『トウショウスーパー』の株価が上がりました」

 「やった」

 会場に歓声が響く。東京証券取引所が開催している「親子経済教室」の一コマだ。

 アパレルの「ブティック・シェア」「エース自動車」…。架空の会社の株式を売買する手がかりとなるのは、教材のボードで示される「牛肉の表示偽装が発覚」「高機能Tシャツを発売」「太陽電池で走る自動車を発売」などの企業ニュースだ。このほか、為替相場や金利の動向、「金融危機で銀行が融資に慎重になる」などマーケットの情報も重要だ。株式市場がどのような経済事象で動くかをゲーム形式で体感できる。授業内容は教材開発会社と東証が共同で開発した。

 ◆金融知識の必要性

 親子経済教室は、夏休みなどに小学校高学年の児童と中学生、その保護者が参加。また、東証では小・中学や高校での授業支援も行っている。これらの場では、株式会社の基本的な仕組みを教えることが主眼。ゲームにはこのほか、経営者や株主となって会社の仕組みを疑似体験するものがある。

 株取引のゲームは「時間に余裕があるとき」に限られるが、子供にも分かりやすく金融・経済の仕組みを教えたい、という思いは一貫している。

 背景には、政府が「貯蓄から投資へ」と旗を振っても、なかなか投資に積極的にならない日本人の姿勢がある。麻生太郎前首相の「株屋」発言など、上場企業の活動を支えているはずの金融市場の公正な取引を軽視する雰囲気すら一部に残っているのが現状だ。

 東証や証券会社はこうした状況を少しでも変えようと、金融教育に力を入れている。東証の椎名康雄CSR推進部長は「経済の持続的発展のためには、証券市場のすそ野の拡大は欠かせない。そのためには、金融資産を自律的に管理・運営できるリテラシーが必要だ」と強調する。リテラシーとは読み書きの能力のことだが、そうたとえられる最低限の金融知識も、一般的には学校や社会で教えられることはなく、自力で習得しなければならないのが現状だ。

 2004年、金融知識の普及に向けた取り組みの一つとして、「東証アカデミー」が“開校”された。年間約170回の社会人向けセミナーを実施し、受講者は延べ1万人に及ぶ。リタイアした高齢者から学生まで、世代は幅広く、経済評論家の勝間和代さんらの影響で女性の姿も目立ってきた。

 関係者を驚かせるともに安堵(あんど)させたのは、昨年9月のリーマン・ショック後の相場低迷でも受講者が減らなかったことだ。椎名氏は「株式投資をじっくり学び、長いレンジで資産運用を考える方が増えてきた」と強調している。

 ◆定番の見学コース

 もう一つ、東証が実施する金融教育の柱として、2000年に株券売買立会場の跡地に設置された情報提供スペース「東証Arrows(アローズ)」を活用したものがある。見学者は年間約6万3000人。社会科見学のほか、修学旅行で地方から東京に来る中高生にとっても、東京ディズニーランドとともに定番の見学コースとなっている。

 見学者の1割弱に当たる6000人が外国人だ。「インドから来た見学者から、専門的な質問を浴びせられた」(東証関係者)との声もあるなど、海外の証券関係者も訪れているようだ。

 これらの取り組みは、短期間で効果を発揮するのは難しい。しかし、東証は社会人のほか、未来の投資家になり得る子供たちにも目配りした活動を展開しており、「地道な“底上げ”を続けていきたい」(椎名氏)としている。(高橋寛次)

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