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メキシコ系犯罪組織 中南米で勢力拡大 米州機構、撲滅へスクラム

2008/10/24

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犯罪組織の掃討作戦に向け米国と国境を接するティフアナの空港に降り立ったメキシコの海兵隊=17日(AP)
犯罪組織の掃討作戦に向け米国と国境を接するティフアナの空港に降り立ったメキシコの海兵隊=17日(AP)

 治安維持などを目的とする南北アメリカ大陸諸国の地域組織、米州機構(OAS)の内務・治安担当相会合が今月上旬に行われ、急増する国際的な組織犯罪への対応策を協議した。最大の焦点は、中南米で勢力を拡大しているメキシコ系犯罪組織問題だ。加盟国は組織犯罪の脅威を共有しているものの、それぞれ法制度や政策の優先順位に違いがあり、緊密な協力を行うための障害となっている。

                   ◇

 ≪分析≫

 メキシコの首都、メキシコ市で8日行われたOAS閣僚会議で明らかになったのは、メキシコの組織が、国際組織の代表格だったコロンビアの組織に取って代わり、中南米全域に勢力を広げていることだった。メキシコの組織は、組織同士で提携や役割分担を行うなどの例も報告されている。

 小規模で目立たないコロンビアの組織はコカインとヘロインを生産し、メキシコ人に売る。メキシコ人はそれを米国の主要市場へ運んで販売する。コロンビア人は、西アフリカ経由で欧州市場を狙う。

 コロンビア国防省によると、反政府左翼ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)もメキシコ人と直接関係を持っている。エクアドル国境で活動するFARC第48部隊はメキシコの組織への販売と連絡窓口の役割を担っているという。

 ◆投資・観光に打撃

 OAS加盟国は、メキシコの治安部隊が徹底的に取り締まったにもかかわらず、強大なメキシコの組織が生き延びたことに警戒を強めている。今回の閣僚会議では、34のほぼ全加盟国が国境警備で協力を強化することに合意した。全加盟国が組織犯罪の拡大を食い止めようと協力するのは、今回が初めてだ。

 メキシコ人はボリビアやペルーの麻薬生産者と直接取引を確立した。犯罪組織は麻薬だけでなく武器売買や人身売買にも手を染めている。麻薬取引もコカインやヘロインだけではない。

 7月、アルゼンチン保安部隊はブエノスアイレス郊外でエフェドリンを生産する実験室を発見した。エフェドリンは、メタンフェタミン(ヒロポン)の原料だ。「シナロア・カルテル」と呼ばれる組織の構成員、メキシコ人9人が逮捕された。8月には、エフェドリンの違法販売容疑で捜査中の製薬会社に関係するメキシコ人3人が処刑されているのが見つかった。

 OASのホセ・ミゲル・インスルサ事務総長(前チリ内相)は、治安悪化による損失を地域のGDP(国内総生産)の約16%に当たる年間3000億ドル(約29兆2700億円)と見積もった。

 現地で行われた最近の調査によると、昨年、何らかの犯罪被害に遭った中南米人の割合は38%と、1995年の29%から大幅に上昇した。最近の国連の推計では、中南米は世界人口の8%に過ぎないが、世界の誘拐事件の75%が同地域で起きている。

 中でも殺人事件は観光や海外からの投資に大きく影響する。中南米の殺人は10万人当たり27人と世界最悪だ。ホンジュラスでは今年1〜3月のわずか3カ月で1882人が殺され、昨年より38%増えた。グアテマラでは、8月だけで616人が暴力で死んだ。メキシコでは今年、暴力組織がらみの事件で約3500人が犠牲になった。カリブ海のアンティグア島やセント・クリストファー島でも殺人と銃犯罪が増加し、安全なリゾート地という評判を脅かしている。 

 ◆国際協力の障害

 各国が組織犯罪対策の必要性を認識していても、ただちに広範囲の協力が実現するわけではない。各国の法律や政策目標が異なるためだ。貿易促進や移民政策、国家主権に対する価値観の違いが、協力の効果を制約している。米国はベネズエラが麻薬取引対策で協力を拒んでいることに不満を表明。ボリビアは先に、米国麻薬取締局職員を国外退去処分にした。

 犯罪組織は腰の重い国家官僚組織に比べ、状況の変化に素早く対応する。とくに、薬物の新しい販売ルート開拓や輸送方法を考え出すのにたけている。輸送に潜水艦を利用し、捜査が困難になっているのが好例だ。

 国際協力の限界はOAS会議の最終文書にも現れている。具体的な行動計画というより、協力への約束をうたっているだけだ。ただ各国警察の情報共有、共通データベースの構築は大きな前進といえるかもしれない。

 テロは、とくに米国が強い関心を寄せているが、他国はメキシコへの武器持ち込みなどの組織犯罪全般に米国がさらに積極的にかかわることを望んだ。会議に参加した閣僚らは、組織犯罪がテロへの資金提供源となる危険性に言及しようとしたが、ブラジルは抵抗し、「法の外にいる集団」という、あいまいな表現をとるよう要求した。

                   ◇

 ≪結論≫

 暴力犯罪には複雑な原因があり、単に犯罪組織を撲滅するだけでは効果的に取り組むことができないという認識が浸透している。とりわけ、制度改革、教育・医療計画、汚職や税金の無駄遣いへの対策が必要だ。どの国も、他国の助けなしに一国では対処できない。小さな一歩に過ぎないかもしれないが、このような意味で、全加盟国が組織犯罪の拡大防止で合意した今回の会議の意義は大きいといえるだろう。

                   ◇

【用語解説】米州機構(OAS=Organization of American States)

 治安維持や加盟国間の紛争防止・解決、民主主義の強化などを目的とする米州唯一の南北アメリカ圏の国際機関。1951年に発足し、米国、カナダ、中南米33カ国の計35カ国が正式加盟している(キューバは、1962年に脱退を発表したものの、正式に脱退してはいない)。



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