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ブラジル バイオ燃料産業の巨額投資 財政難、供給過剰 有望市場への試練

2009/10/10

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ブラジル近郊にあるエタノール燃料工場(ブルームバーグ)
ブラジル近郊にあるエタノール燃料工場(ブルームバーグ)

 多くの国が化石燃料への依存度を低下させ公害を防ごうとするなかで、サトウキビを原料に作られた「バイオエタノール」の需要拡大が見込まれている。200社に上るブラジルのバイオ燃料産業は蒸留所の新設やサトウキビの植え付けを増やすために、ここ数年で200億ドル(約1兆7800億円)もの投資を実施。世界の砂糖価格は押し上げられ、28年ぶりの高値を記録した。こうした動きは多大な投資をした後に深刻な財政問題に直面したブラジル産業にとって福音といえる。

                   ◇

 ≪分析≫

 1980年代まで、ブラジルの砂糖産業は、政府によって厳しく統制されていた。当時、輸出された比較的少量の砂糖は、優遇価格で主に米国へ出荷されたが、サトウキビが自生するブラジル北東部で生産されていた。サトウキビから製造したアルコールは主に工業用で、ほとんど輸出されなかった。サンパウロ州を中心に南東部で作られた砂糖は、国内市場で売られていた。

 近年、化石燃料の輸入への依存度を減らす要請が強まるなかで、再生可能な代替エネルギー、とくに地球環境に非常に優しいバイオエタノールの研究が奨励されてきた。

 日本や欧州諸国への販売が見込まれるなかで、ブラジル企業はエタノール生産の新しい施設に投資。また、エタノール産業は海外投資家も引き付け、米穀物大手カーギルや、石油メジャーの英BP、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルなども投資した。

 家族経営が多いブラジル企業や数十の新規投資家は、200の新工場を建設する計画を発表した。このうち、すでに80工場が操業を始めている。

 ◆新車の9割が利用

 昨年、石油価格が高騰した際、米国向けの需要が急増したが、ブラジルで生産されるエタノールの10%しか輸出されなかった。これまでのところ、エタノールの大半は国内で消費されている。ブラジルは、2003年、ガソリンとエタノールの両方に対応できる「フレックス燃料(FF)エンジン」を導入。FFエンジンは、ガソリン100%でも、エタノール100%でも動き、両燃料の混合率を任意に変えることも可能だ。

 現在、ブラジルで販売されている年間230万台の新車の約90%はFFエンジンを搭載している。エタノールはガソリンよりも安いので、いまやほとんどのドライバーはエタノールを選択。エタノールの販売は、年率で約20%の伸びをみせている。

 ◆インフラ整備急務

 ただ、国内販売は好調であるものの、需要よりも供給のほうが一層急速に増えているため、エタノールは供給過剰になっている。ここ数カ月のうちに、少なくとも6社が倒産し、50の工場が売りに出されている。最近の分析では、企業統合が続き、200社のうち、50社しか生き残れないとの見方もある。

 エタノールの需要を予測するのは難しい。現在の世界経済危機と、昨年の原油価格高騰により、ユーザーの多くは燃費向上を求めるようになった。

 しかし、ブラジルの国内需要は、いずれ現在の250億リットルの約3倍で頭打ちになる。その後、余剰分のほとんどは海外に輸出されるだろう。そのときまでに、大規模な国際市場が生まれ、低コストでエタノールを港まで輸送するパイプラインなど、インフラの整備が期待されている。

                   ◇

 ≪結論≫

 原油価格の低下と燃費向上によって、再生可能エネルギーに転換する圧力は一時的に弱まり、バイオエタノール産業の財政難が続くかもしれない。しかし、サトウキビ以外にも、樹皮などのセルロースからエタノールを製造する技術の研究が進められており、5〜10年で実用化する見込み。技術の進展を背景に長期的に有望な分野になっていることから、売りに出されているすべてのエタノール工場の買い手が見つかりつつある。

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