ASEAN 自然災害の対策強化で合意 「共通の利害」意識浸透が鍵
2009/11/6
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![]() 台風21号(アジア名・ミリネ)で冠水した町から避難する人々=10月31日、マニラ南方のラグナ州サンタクルス(AP) |
タイ中部のフアヒンで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の一連の国際会議の一つとして、10月25日に開催された「東アジア首脳会議(EAS)」で、自然災害に対する地域レベルの対策を強化することで合意した。東南アジア地域では、地球温暖化とこれまでの環境対策軽視のため、洪水やその他の自然災害による被害が拡大している。しかし、自然災害から甚大な経済的損失を被っているにもかかわらず、大半の国で動きは鈍い。
◇
≪分析≫
EASは、ASEAN10カ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた「拡大版ASEAN」だ。鳩山由紀夫首相が提唱する「東アジア共同体」構想ともメンバーが重なる。参加国は、自然災害の対策とリスク軽減のために、一致して協力の水準を高めることを誓った。今年のASEAN議長国、タイのアピシット首相は、災害への対応手順を標準化するほか、地域の災害対応連絡網を構築することになるだろうと述べた。
◆ホットスポット
東南アジアは、約22万人の被害者が出た2004年12月のスマトラ沖地震に伴う津波や、08年5月、ミャンマーで8万人以上の死者が出たサイクロン「ナルギス」をはじめ、多くの自然災害に直面してきた。今年も、東南アジアを熱帯暴風雨や地震が襲い、数千人が亡くなった。
最近の国連の統計によると、アジアは世界でも自然災害の多発する地域だ。毎年平均250件の気象に関連した災害を被り、東南アジアだけで世界の自然災害の約60%を占める。
アジア開発銀行(ADB)は、地球温暖化によって自然災害の頻度が高まり、今世紀の終わりまでに、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムの国内総生産(GDP)を6.7%低下させる可能性があると警告した。
今年9月、フィリピン、ベトナム、ラオス、カンボジアを襲った台風と、インドネシアで発生した2つの地震によって、少なくとも1500人が死亡し、100万人が家を失い、推定4億ドル(約360億円)の損害がもたらされた。しかし、04年の津波の教訓がなかったら、被害はさらに大きくなっていただろう。
援助機関によると、04年の津波以降、1200人以上のボランティアが訓練を受け、住環境が改善した家族も多い。最近ベトナムの海岸線に迫った台風の前に、ボランティアグループが海岸沿いの集落に早期警報を発する仕組みを用意し、住宅を補強する方法を指導した。
◆スマトラ沖の教訓
ASEANは防災・緊急対応協定の下で、15年を目標に「災害に強い社会」を作ろうとしている。今年9月、フィリピンが最後に同協定を批准したことで、年内に発効する見通しだ。
サイクロン「ナルギス」の時には、1億300万ドルの援助物資がミャンマーに届けられ、協調的対応は一定の成功を収めた。しかし、これは1回限りの取り組みであり、ミャンマー救援を組織したASEAN、国連、ミャンマー政府の3者グループは間もなく解散するだろう。
04年の津波当時、被害を受けたインドネシア、インド、タイ、スリランカ、モルディブの5カ国は、いずれも適切な準備をしていなかった。災害から5年が経過し、政府や援助機関の勧告のいくつかは部分的に実行に移されている。
第1は教育だ。04年には、潜在的リスクに対する意識の低さが甚大な被害をもたらしたといわれる。これに対して、07年の南太平洋、ソロモン諸島の津波では、海岸沿いの住民に経験的な津波の知識があり、公的警報を待たずに避難したため、比較的被害が小さく済んだ。
学校の災害教育をおろそかにして、過度に技術に依存するのは問題だ。地震や津波の兆候を探知する早期警戒衛星や地震計の設置には長い時間がかかるからだ。地域内で津波警報センターを運用しているのは、オーストラリア、インドネシア、インドだけだ。
◆権限委譲にためらい
第2は地域間協力だ。各国政府には、輸送上、運用上の障害を取り除き、適切な援助物資を確保するために、地方レベルでの協力関係が求められている。オーストラリアはフアヒンで、災害に対応するために500人からなる常設の緊急対応部隊を設立すると発表した。
ASEAN防災人道支援調整センター、タイの首都バンコクに本拠を置くアジア防災センター(ADPC)をモデルに、地域レベルで活動を調整するために新しいセンターを作る必要性が指摘されているが、各国は権限の委譲をためらっている。
第3は防災を目的とした規制の強化だ。開発計画と建設に対する基準の緩さが04年の津波被害を大きくしたと非難を浴びている。各国当局には、技術情報の共有、インフラの共同開発、統一規格の促進が求められている。しかし、フアヒンにおけるアピシット首相の発言によれば、災害対応手続きだけが標準化されることになりそうだ。
◇
≪結論≫
東南アジアは、これまで経済開発を優先するあまり、自然環境の変化が災害に及ぼす影響を軽視してきた。最近の壊滅的な一連の自然災害にもかかわらず、東南アジアでは天災への備えが不十分で、防災に十分な資源を投じようとしない国が多い。各国政府が技術情報の共有を嫌い、独立機関に管理権限を委譲するのをためらう限り、防災の国際協力の試みは停滞するだろう。
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