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みずほ信託銀行社長・野中隆史

2008/12/11

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【プロフィル】野中隆史
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 のなか・たかし 東大経卒、1975年富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。2004年みずほ銀行常務執行役員、07年同副頭取を経て、08年6月から現職。56歳。群馬県出身。
【プロフィル】野中隆史

 のなか・たかし 東大経卒、1975年富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。2004年みずほ銀行常務執行役員、07年同副頭取を経て、08年6月から現職。56歳。群馬県出身。

 □オーナー経営者に朗報

 ■株安・土地安、事業承継の絶好機

 ≪莫大な相続税に悩む≫

 米国を中心としたグローバルスタンダードの流れは、会計面を中心に日本に押し寄せてきて久しい。時価会計や内部統制といったルールの変更は、上場企業の経営者に大きな負担としてのしかかっている。

 米国発のグローバルスタンダードがそのまま日本の企業になじむとは思えない。そもそも、資本と企業経営が分離された米国型企業統治と、日本のケースはかなり違う。日本には、上場後も引き続き社長や社長の一族、ないしは社長の資産管理会社が、大株主として企業統治を行う、いわゆるオーナー系上場企業というものが非常に多いのである。

 ここで問題になるのが、オーナーの相続に係る相続税である。オーナーの資産の大半は自社株であり、その評価によっては莫大(ばくだい)な相続税がかけられる。上場株として流通しているといえども、企業統治の問題もあり、売却して納税原資に充てるわけにもいかない。会社を大きくすればするだけ、オーナーの悩みも大きくなるといえる。

 ≪地価下落が投資のチャンス≫

 今回の米国発の金融・経済危機の影響で日本の地価は下落に転じ、不動産市場は急速に冷え込んでいる。不動産売買のプレーヤーも海外の不動産投資ファンドなどのいわゆるプロ中心から一転し、一般事業会社や個人投資家の占める割合が増してきている。地価の下落を投資のチャンスととらえている企業オーナーも多い。

 個人による不動産投資は、相続の観点でも効果は大きいといえる。現金を不動産に置き換えるだけでも、相続評価を減額させる効果はある。物件の時価と相続税評価額の乖離(かいり)が大きければ、なおさらである。なかには、相続人が2人いるので、同じような収益物件を2物件購入した企業オーナーの例もあるくらいだ。相続時精算課税贈与制度を活用し、収益を生む不動産を、相続人あてに生前贈与しておくことで、将来の納税原資を相続人が積み立てていくことも可能となる。

 ≪自社株を後継者に移転しやすく≫

 昨今の株価の低迷はオーナー経営者にとって、自社株を後継者へ移転させる絶好のチャンスといえる。後継者のみならず資産管理会社などへ譲渡することも、移転コストを安く抑えることが可能であり、自己株買いとともにオーナー経営者からの相談は非常に多い。

 株価が安く移動がしやすくなったことで、同族間の株主構成の是正を図りたいというケースや「企業の非上場化・MBO(経営陣による自社買収)」にまで発展するケースもある。上場していることで内部統制のコスト負担が大きいことや、知名度アップや採用の充実といった当初の目的が既に達成され、上場を続けるメリットが薄れたこと、資本と経営が分離した企業がガバナンスの再構築を目的に経営陣に株を持たせるなど、その目的や背景はさまざまだが、株価の低迷をチャンスととらえ、積極的に手を打つ企業オーナーの存在を認識し、日々ニーズにお応えしている。

 ≪税制改正に期待≫

 2009年度税制改正で事業承継税制が整備される予定である。相続発生時の非上場企業の株式の取り扱いに効果がある制度として非上場企業のオーナーにとっては朗報である。年間29万社が廃業している昨今、相続税の納付ができないという理由や後継者が不在だという理由での廃業は、実に7万社を占める。相続税における制度上のサポートも極めて重要な世の中になってきたといえる。

 企業オーナーの悩みは尽きず、弊社もこうした悩みのソリューションやコンサルティングに全力を挙げて取り組んでいる。

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