みずほ信託銀行社長・野中隆史 不況下の株主総会に向けて
2009/6/2
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■経営者には強い信念が必要
6月に入り、いよいよ株主総会シーズンの到来であるが、昨秋のリーマン・ショックに端を発した世界的な景気の後退により、多くの企業は昨年に比べて業績が悪化しており、今年の株主総会は従来以上に株主からの厳しい質問や経営者への責任追及が予想される。
◆予想される発言株主の増加
不況下における株主総会は、一般的に出席者が増える傾向にあり、今年の3月総会でも出席者数の増加、発言株主の増加、所要時間の伸長という傾向がみられた。株主からの質問は、業績悪化の原因、経営責任、今後の業績見通し、財務状況、役員報酬、コスト削減策などが多くなるであろう。こうした株主からの質問に対しては、経営者として、厳しい経営環境に対する認識を明確に示しつつ、それを乗り越えるための経営方針や具体的な施策を強い信念と姿勢をもって示す必要がある。また、株価や配当に関する質問も予想されるが、株価は市場の需給関係で決定されるものであり、本来、会社としてその動向についてコメントできる立場にはないが、企業価値を高める経営努力を重ねていることや、企業価値を市場で公正に評価してもらえるよう、IR(投資家向け広報)の努力を重ねていることを説明し、理解してもらうことが重要であろう。
敵対的買収の減少やアクティビスト系ファンドの停滞などから、今年の株主総会における株主提案権の行使は減少するものとみられている。一方、企業業績の悪化などから、役員退職慰労金を含む役員報酬関係の議案や取締役選任議案には、従来にも増して、機関投資家からの反対票が増加するものと予想されている。また、議決権行使助言会社や海外の機関投資家などは、最近、議決権行使結果の公表を要請している。わが国でも、すでにソニー、資生堂など数社が議決権行使結果の公表を行っており、今年はさらに行使結果を公表する企業が増えると思われる。
◆社外取締役の選任義務化論議
欧米の有力年金基金やその運用会社がメンバーとなっているACGA(Asian Corporate Governance Association)は昨年5月、日本のコーポレート・ガバナンス白書をまとめ、最低3人の独立社外取締役を可及的速やかに指名することなどを提案した。一方、経団連のまとめによれば、「取締役会が執行に対して適正な監督を行えるか否かは、社外取締役がいるかどうか(社外取締役の数)という点以上に、経営に関する知識や経験を有し、当該企業の事業や当該産業についてよく知っているとともに、それらの知識や経験に基づいてタイミングよく適切な発言をすることができる能力を持つ取締役であるかどうか(取締役の質)によって左右される」としている。社外取締役選任の義務付けや、社外取締役の独立性の強化などについては現在、金融庁や経済産業省の各種審議会で議論されており、今後の動向が注目される。
◆コンサルティング機能の充実
証券代行業務を営む弊社では、株主名簿管理人として契約先企業の株式に関する事務処理業務を代行するほか、専門スタッフによる株主総会の運営支援など株式法務と株式実務に関するアドバイスを行っており、各種セミナーや勉強会の開催など実用的でタイムリーな情報提供にも注力している。また企業のIR支援として弊社ホームページへの招集通知掲示サービスのほか、国内外の機関投資家に関する株主判明調査や株主アンケートの調査と分析なども手掛け、株券電子化後の証券代行業務のサービスメニューは格段に広がっている。さらに企業再編実務支援や買収防衛策の導入支援など各種コンサルティング機能の充実も図っている。株主総会に向けて懸念される問題があれば、企業と同じ立場に立って、問題解決に尽力していきたい。
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【プロフィル】野中隆史
のなか・たかし 東大経卒、1975年富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。2004年みずほ銀行常務執行役員、07年同副頭取を経て、08年6月から現職。57歳。群馬県出身。
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