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ロハス・ビジネス・アライアンス共同代表 大和田順子

2009/11/25

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 □耕作放棄地の開墾

 ■ビジネス、CSRもはぐくむ

 カラマツがオレンジ色に紅葉する森林に囲まれた山梨県北杜市増富の耕作放棄地。スコップやカマを手に、切り株やススキの根っこを掘り起こす一団がいた。増富地区はいわゆる限界集落で、耕作放棄地は15年以上耕作されなくなった元田んぼだ。ススキや小径木が何本も生えてしまった場所を再び田畑に戻そうと開墾しているのだ。

 一団は約30人。10月31日、東京からバスをチャーターしてやってきた。企業で働く人が中心だが、開墾ツアーを企画したのはNPO法人(特定非営利活動法人)「農商工連携サポートセンター」、現地の受け入れはNPO法人「えがおつなげて」が行った。汗をかきながら、声をかけあいながら、どんどん開墾していく。参加した人たちは「久々にいい汗をかいた」「農地の再生にかかわることができた」と。なかには、「開墾で自分の心が耕されているような気がした」という人も。

 ◆元中央官僚も参加

 農林水産省が今年4月に発表した耕作放棄地に関する初の全国実態調査結果によると、耕作に使えない農地は約28万4000ヘクタール。また「2005年農林業センサス」によれば、耕作放棄地は前回の00年調査に比べて約4万ヘクタール(12.2%)増加。農家数、農業就業人口、耕作面積が減る一方で耕作放棄地は増え、食料自給率も41%と低いレベルにとどまっているのが現状だ。

 そんな中、耕作放棄地の再生に取り組むNPOや企業が登場している。「えがおつなげて」は02年から、増富地区の耕作放棄地の開墾に乗り出し、3.3ヘクタールを再生させた。

 当初、開墾にきたのは都会に住む若者たち。地元の高齢の農家の人たちの協力も得て、さまざまな農業体験プログラムも開発した。田畑がよみがえり、地域の人たちもとても喜んでいる。

 その活動に心を動かされ、今年7月に官僚を辞め、農商工連携サポートセンターを設立したのが元経済産業省審議官の大塚洋一郎さん(55)だ。「これからの10年は自分のしたいことに打ち込みたい」という。

 ◆社会起業家の登場

 開墾は、個人の価値観やライフスタイルを変えるだけでなく、新しいビジネスやCSR(企業の社会的責任)活動をはぐくんでいる。関西を中心に都市近郊の耕作放棄地27カ所、合計33ヘクタールの再生に着手し、菜園を運営しているのが「マイファーム」で、設立3年目の若い会社だ。耕作できない農地を地主さんから運営受託し、一方で野菜を作りたい個人や企業にその場所を小分けして貸し出している。

 代表の西辻一真さん(27)は「“自産自消”を志向する人が増えている。自分で野菜を作り家族で食べる。都市に生活していても、少しは自給することができるではないか、そうした仕組みを提供したいと思った」と言う。

 大企業では、三菱地所が昨年からCSR活動「空と土プロジェクト」を始めた。“都市と農山村をつなぐ”がコンセプト。「えがおつなげて」と提携し、増富地区の耕作放棄地や森林の再生に取り組んでいる。三菱地所やグループ会社の社員、その家族らが参加できるツアーの開催をはじめ、再生した農地から収穫した農産物の新丸ビル内レストランでの活用や、間伐材の建材利用などに着手している。

 私は都市の生活は“根のない暮らし”とつくづく思う。いわば切り花かプランター植物のようなものだ。農山村に行き耕作放棄地の開墾に携わることで、農業、農山村に生きる人々と接点を持つことができる。農山村の暮らしは食糧やエネルギーをある程度自給でき、自立した生活が残っている。「豊かで幸せな社会とは」が問い直されている今、農山村の暮らしや耕作放棄地の開墾はその原点を教えてくれる。

                   ◇

【プロフィル】大和田順子

 おおわだ・じゅんこ NPO法人「農商工連携サポートセンター」理事。立教大学セカンドステージ大学兼任講師。健康と環境に配慮したサステイナブルなライフスタイルを広めている。主な著作に『ロハスビジネス』(朝日新書)。

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