映画ビジネス 国立大が新風
2007/4/9
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![]() 「新訳:今昔物語」の第1話「Wrestler Jeanne」のワンシ−ン |
2005年に誕生した東京芸術大学大学院映像研究科の映画専攻1期生による劇場公開デビュー作「新訳:今昔物語」が、東京・渋谷のユーロスペースで5月25日から上映される。
≪スポンサー探しから≫
この映画は、黒沢清・北野武ゼミの実習課題として、劇場公開を前提に制作。資金調達、権利販売など、映画を作る上での全実務を、学生たちの手で行った。プロデューサーコースの1期生で、「新訳:今昔物語」のプロデューサーを担当した筒井龍平さん(29)は、資金繰りのために「10社以上の門戸をたたいた」と明かす。
結果として携帯電話向けデジタルコンテンツ(情報の内容)企画などを手がけるモブキャスト(東京都目黒区)が協賛。同社映像グループの川端基夫チーフプロデューサーは、「当社も設立4年に満たない若い企業。希望や勇気を持って取り組んでいる若い人たちを応援し、ともに成長したい」と述べる。
≪インリンらプロ出演≫
4つの短編で構成されたオムニバス形式。出演はつぐみ、インリン・オブ・ジョイトイら、プロの俳優陣。監督、脚本、撮影などはすべて学生が担当した。いずれも原作は「今ハ昔…」でおなじみの今昔物語。舞台を現代に設定し、学生たちの感性を生かして映像化した。
≪著作権切れの強みで≫
今昔物語のエッセンスを凝縮した作品は、どこか生々しい不思議な魅力を放つ。第1話の「Wrestler Jeanne(レスラー・ジャンヌ)」(渡辺ゆう子監督)は、酒におぼれた女子レスラーが1通のファンレターをきっかけに再起を目指すというストーリーだが、原作となった暴れ者が改心する今昔物語の中の「悪人往生」の持つ“奇妙さ”がうまく表現されている。
今昔物語を原作に選んだのは、著作権保護期間の切れたパブリックドメインの作品であることに加え、「1000年以上に渡って語り継がれるだけの、物語としての“強度”があると感じた」(筒井さん)からだ。
≪エンタメ業界に一石≫
邦画が好調といわれる昨今について、筒井さんは「興行チャートをにぎわす映画は『泣ける』『笑える』といった単一機能の“分かりやすい”内容ばかり。『分かりやすい映画=成功する』という構図ができてしまっている。この作品は、あえて“分かりにくく”仕上げて疑問を提示した」と説明する。
古典文学を現代流にアレンジした今回の映画は、今のエンターテインメント業界に一石を投じる作品になりそうだ。
また、6監督6作品の修了制作展が、5月12、13日に東京芸術大学馬車道校舎(横浜市中区)、5月19〜24日にユーロスペースで行われる。当日券は600円、前売り券は500円。
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【メモ】東京芸術大学大学院映像研究科
2005年設立の国立大初の映画教育機関。美術と音楽の2学部構成だった東京芸大が、デジタルコンテンツ時代に対応する総合芸術大学への転換を図るために新設した。黒沢清監督や北野武監督らを教授陣に迎え、監督・脚本・製作・撮影・美術・録音・編集の各分野を実践的に教育している。
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