特許「翻訳」で中小企業サポート

2009/11/2

特許の翻訳を指揮する総括プロデューサーの前田裕子氏
特許の翻訳を指揮する総括プロデューサーの前田裕子氏

 「全国イノベーション推進機関ネットワーク」(会長・堀場雅夫氏、以下イノベーションネット)は、研究機関などが持つ特許技術を中小企業向けに「翻訳」する活動を開始した。

 科学技術振興機構(JST)、日本立地センターなどが音頭を取って今年4月に設立されたイノベーションネット。全国の官民支援機関が連携し、オールジャパンによる産学連携の支援体制構築を目指しており、10月末で参加する機関は70を突破している。

 ◆専門技術平易に

 イノベーションネットが掲げる「翻訳」とは、全国の研究機関の保有技術で既に特許化された技術に関して、その専門的な内容を中小企業の経営者や技術者がすぐ理解できるような内容にかみ砕いていく作業のことだ。翻訳の内容は情報シート(ファイル)として蓄積し、会員機関のコーディネーターやアドバイザーらを仲介役に、各地の中小企業へ提供する計画だ。

 「最終的な狙いは、研究機関の持つ特許技術を中小企業がどんどん活用し、製品やサービスなどの事業に生かせるようにすること」と前田裕子・総括プロデューサー。

 ある大手企業系技術コンサルタント会社の元役員も「厳密性にこだわる研究者は平易な説明が苦手。技術広報をする上で、実は翻訳は重要な作業」と説明する。

 イノベーションネットでは、研究機関のなかでも、国立試験研究機関に注目している。国立試験研究機関は知財の宝庫だが、中小企業から見れば大学や大学院以上に敷居の高い存在であるからだ。大企業だけでなく中小企業とも手を結ばせ、技術提供の機会を増やし連携の手伝いをしていこうと考えている。

 ◆製品化を想定

 そこでまず、産業技術総合研究所の特許で、中小企業での事業化に結び付くと思われる100件を選定し、翻訳作業を始めた。選定では(1)企業との共同出願・共同研究となっていないもの(2)案件に関する特許が複数ある場合は基本特許がとれていること(3)ノウハウや特許1件の場合は産総研で翻訳する−の3つに留意した。

 作業にあたったのは前田氏をリーダーに、同ネットの技術コーディネーター2人と堀場製作所の安井義彰技術顧問ら技術者2人の計5人。

 翻訳のポイントは「専門・学術用語を避ける」のはもちろん、「中小企業での製品化を想定する」「夢が語られ、具体的で前向きな将来の活用イメージを得られる」表現にすることで、今年度末までにまとめる計画だ。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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