来月リスボン条約発効 EU新時代 最初の課題 温暖化策はまとまらず

2009/11/7

EU首脳会議後に記者会見するバローゾ欧州委員会委員長(左)とEU議長国スウェーデンのラインフェルト首相=10月30日、ブリュッセル(AP)
EU首脳会議後に記者会見するバローゾ欧州委員会委員長(左)とEU議長国スウェーデンのラインフェルト首相=10月30日、ブリュッセル(AP)

 チェコのクラウス大統領は3日、同国の憲法裁判所が、欧州連合(EU)の新基本条約「リスボン条約」が同国の憲法に違反しないと判断したことを受け、同条約の批准書に署名した。これに先立ち、ブリュッセルで開かれた欧州理事会(EU首脳会議)では、クラウス大統領が求めているチェコに対する例外規定を、新条約の付随文書の形で認めていた。首脳会議では、京都議定書後の地球温暖化対策についても話し合われたが、途上国への資金援助で合意に失敗した。

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 ≪分析≫

 EUの制度改革をめぐる約8年間の交渉の末、EUはついにリスボン条約の最後のハードルを越えた。同条約は12月1日にも発効する。EU議長国のスウェーデンは、今月中旬に臨時の首脳会議を招集し、新設されるEU首脳会議常任議長(EU大統領)や外交安全保障上級代表(EU外相)を選出する。

 ◆大統領職の行方

 10月29、30の両日、ブリュッセルで開催されたEU首脳会議で、初代の「EU大統領」(任期2年半、1回再選可)の人選をめぐり活発な議論が交わされた。EUの審議機関、欧州議会の中道左派会派「欧州社会党」は、EU大統領、EU外相、欧州委員会委員長のうち、1つは中道左派から選ばれるべきだと主張している。

 EU外相のポストを英労働党のミリバンド外相が獲得すれば、同党出身のブレア前英首相がEU大統領に就くのは難しくなる。

 中道左派陣営は、ブッシュ前米大統領とともにイラク戦争開戦を主導したブレア前首相を支持していない。

 小国の指導者を推す声もある。ルクセンブルクのユンケル首相、ベルギーのファンロンパイ首相、フィンランドのリッポネン元首相らが有力候補だ。

 ジェンダー・バランスに配慮すべきだという主張もある。こうした観点から、女性のメアリー・ロビンソン元アイルランド大統領や、ワイラ・ビケフレイベルガ前ラトビア大統領の名前が挙がっている。

 EU首脳会議常任議長が、強い指導力を発揮する「大統領型」、域内の調整を優先する「議長型」のいずれになるかは、誰が選ばれるかによって変わってくる。

 ◆COP15は腰砕け?

 EU首脳会議では、12月にデンマークのコペンハーゲンで開かれる国連の「気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)」に向けた調整も行われた。COP15では、京都議定書に続く2013年以降の温暖化対策のための国際的な枠組み(ポスト京都)が協議される。

 焦点の一つは、二酸化炭素に代表される温室効果ガスの発展途上国による排出削減を支援するEUの拠出金について、合意できるかだった。欧州委員会は9月、途上国の排出削減を国際社会が支援する計画を発表。13〜20年までに途上国の排出削減に毎年1000億ユーロ(約13兆4780億円)が必要で、先進国はこのうち220億〜500億ユーロを負担する必要があるとした。

 欧州委員会は、EUは20億〜150億ユーロを毎年負担する用意があるとしていたが、首脳会議では具体的な拠出額で合意できなかった。

 議長国スウェーデンと英国は途上国支援基金の設立を支持したが、ポーランドをはじめとする中東欧諸国は負担が重すぎるとして抵抗し、ドイツもCOP15前に拠出額を約束することに反対したためだ。

 欧州の首脳らはまた、基金への出資は、米国や日本など、他の先進国の対応を前提条件とする点を強調した。

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 ≪結論≫

 リスボン条約発効の最後の障害を越えて、新設されるポストの人選が熱を帯びてきた。しかし、ブリュッセルの首脳会議では、地球温暖化対策について欧州も「応分の負担」をする用意があるとしながらも、具体的な拠出額を明示することで国際交渉をリードしようとする立場から後退した。COP15で京都議定書に代わる新国際条約に、世界が合意に達するのは一段と困難になった。

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